マイベストTV賞11月度1位は日テレ「妖怪人間ベム」~斬新なテーマの快作!
2012年2月16日(木)13:00
全国の視聴者の投票で優秀番組を見つけ出す<ギャラクシー賞マイベストTV賞>。11月は連続ドラマに注目が集まった。その中で視聴者からいちばん熱い支持を得たのが、「妖怪人間ベム」(日本テレビ)。映像化は困難と思われたアニメ原作を見事にドラマ化したことが高く評価された。主演の亀梨和也をはじめキャスティングも絶妙で、ドラマに奥行きを与えた。2位は同じく日本テレビの連ドラ「家政婦のミタ」。今までにないホームドラマとして話題を呼び、幅広い視聴層から票を集めた。3位の「ゴロウ・デラックス」(TBS)は、硬軟取り混ぜた幅広いテーマを取り上げ、深夜の中でも異彩を放つ番組。稲垣吾郎と小島慶子の息の合った司会ぶりが高く評価された。
【2011年11月度ベスト3】
1位 「妖怪人間ベム」(日本テレビ)
●久しぶりに心から「おもしろい!」と思えた作品。映像も音楽も俳優もすべてが素晴らしい。総合力の高い作品です。
●斬新なテーマ、意表をつくキャストでありながら、その奥深い味わいの展開に惹きつけられました。
●哀しくて、切なくて……でも、どこかほっこりもします。
2位 「家政婦のミタ」(日本テレビ)
●深刻な内容も含んでいるのですが、その回が終わるたびにある種の爽快感があります。
●今までにないタイプのホームドラマ。長谷川博己がうまい。
●内容はここまで視聴率を取れるものではなく、ミタというキャラが成功の鍵だったと思います。
3位 「ゴロウ・デラックス」(TBS)
●稲垣吾郎さんと小島慶子さんの個性がぴったりはまった新しい書籍紹介番組だといえます。
●書籍を足掛かりにして、かなりディープなものも含め、硬軟取り混ぜた幅広いテーマについて知ることができます。
(下略)
マイベストTV賞とは?
数多くの優秀番組・作品を選奨してきたギャラクシー賞の一部門で、視聴者が自ら参加し、優れたテレビ番組を顕彰する「ギャラクシー賞マイベストTV賞」。この賞は、一般視聴者の投票で優秀番組を選び出すものです。
亀梨ベムで見事に実写化~日テレ「妖怪人間ベム」
2012年2月16日(木)08:00
ギャラクシー賞月間賞:「妖怪人間ベム」10月22日~12月24日放送 21:00~21:54 日本テレビ放送網
これまでに何度も懐かしアニメの実写化には驚かされてきたが、「妖怪人間ベム」連ドラ化の報には、正直、正気を疑った。実写ドラマであの妖怪人間たちをどう描くのか。しかも今、連ドラとして作り直すことでいったい何を描きたいのか。そんな心配と疑問は、プロデューサーが「セクシーボイスアンドロボ」「銭ゲバ」などを手がけた河野英裕だと知って半分は期待に変わり、実際に作品を見て完全に払拭された。今は映像的にも内容的にもハードルの高い題材にチャレンジしたスタッフ・キャスト全員に心から拍手を贈りたい。
まずは彼らの存在が、現代の日常風景から浮き上がっていないのが見事。アニメ版の雰囲気を残しつつ現代風にアレンジされた衣装やメイク、彼らの心情を表現するテルミンに似た音色のミュージカルソウ(のこぎり)による音楽など、ベム・ベラ・ベロというキャラクターの存在感が細部にわたって丁寧に作り込まれ、その結果、ドラマ全体にも独特の佇まいが生まれていた。CGによる変身シーンも、「妖怪モノ」としてのおどろおどろしさやアクションの派手さを持ちながら、根本的には叙情的なドラマの雰囲気を壊していない。
アニメ版の代名詞ともいえる「はやく人間になりたい」というセリフの意味を裏返して、では「人間である」とはどういうことなのか、その本質を描こうとする物語の方向性も最後まで明確だった。彼らが人間になる方法にも通じる「人間は完全な善ではない」という大前提と、だからこそ少しでもいい人間になろうと努力しよう、あきらめずに人に期待しようというメッセージは、暗闇に射す、かすかだけれど信頼できる一筋の光のようだ。そしてそれは今だからこそ心に響く。
キャスティングの段階から評価の高かったベラ=杏、ベロ=鈴木福はもちろん、190cmの大男から繊細な美青年へと設定が変更されたベム=亀梨和也も予想外のハマリ役。彼の哀しみをたたえたナイーブさが、ドラマ全体にいい意味で色気を与えていた。(岩根彰子)
★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。
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